ITB療法

ITB療法

バクロフェンは中枢性筋弛緩剤の第一選択ですが、内服し血中濃度が上がっても、作用部位の脊髄周囲の髄液濃度は上がりません。不必要な化学物質が中枢神経に届かないように脳の血管が特殊な構造をしており、バクロフェンが通過しにくいためです。

1984年にアメリカの脳外科医のペン先生が、直接脊髄に投与すれば効くだろうということで、バクロフェンを髄腔内に投与し、著効を報告しました。単回投与では、24時間以内に効果は消失しますので、連続投与の必要があります。体内にポンプを植え込み細い管(カテーテル)を髄腔に留置してポンプからバクロフェンを投与し続けるのがITB療法です。ポンプには2,3ヶ月分の薬剤が入り、注射で薬剤を補充します。また、ポンプにはコンピューターが内蔵されており、コントローラーからの情報を無線で受けて投与方法を自由に調整可能です。

ただし、強力な薬剤が投与され続けていますので、安全に使用するための注意が必要となります。※Q&A「安全な使用のための注意」をご参照ください。ポンプやカテーテルといった異物を体内に植え込みますので、感染の危険も常にあります。効果とリスクを考慮して選択する治療で重度の痙縮のみが適応です。